はじめに
このたびの東日本大震災に巻き込まれた犠牲者の皆さまに心より哀悼の意を捧げるとともに、すべての被災者の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
今回の大震災は、マグニチュード9.0という巨大な海溝型地震とそれによる大規模な津波が引き金となって、福島の原発事故を含む極めて深刻な被害が、東北地方を中心とする東日本全体に発生しています。巨大・広域・複合災害として日本の国全体が危機に瀕する状況がもたらされています。それだけに、国をあげて持てるすべての力を発揮し、被災者の救済と被害の軽減を迅速にはかり、社会の安定につなげなければなりません。そのためにも、叡智や財源を含むすべての人的あるいは物的資源を、効果的かつ集中的に被災地等に投入しなければならない、と考えています。
この中で、もっとも深刻かつ過酷な状況に置かれているのは、いうまでもなく被災者です。行政の対応能力を超える被災の発生に加えて、情報途絶などによる初動時の対応の遅れなどにより、必要な支援が得られない状況の中で、健康を害する被災者が相次いでいます。この被災者の置かれている状態を看過せず、被災者の生活と生業の再建を最優先に取り組まなければなりません。この点においては、被災者の基本的人権を堅持した緊急措置として、被災者の立場に立った災害救助法の適用や罹災証明の発行、緊急生活支援金などによる早急な支援を要請いたします。
加えて、被災者と被災地の再建の展望が見えないまま、被災地コミュニティも崩壊の危機にあります。この状況にあって、被災者に希望を与える復興のビジョンとプログラムを具体的に示すことが急がれています。これについては、被災者の意見を十分に聞きつつ、専門家の責任あるアドバイスも得て、防災面だけではなく生活や生業さらには環境などを十分に考慮したものを提示することが、急がれます。
さて、「前例のない事態には、前例のない対応をはかる」必要があります。これには、一回りも二回りも大きな復興の構えを作ることも必要ですが、既存の復興制度を抜本的に見直し、今回の被災の実態に応じた新しい制度を作っていかなければなりません。
以上の現状認識のもと、災害復興制度研究所、日本災害復興学会としても、あらゆる手立てを講じて救援と復興の支援に取り組む決意です。関連学協会や組織と連携して、被災者と被災地の皆様の迅速で適切な復興を、息長く支援してゆく決意を新たにしています。
災害復興制度研究所 所長 室ア益輝 |
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東日本大震災復興支援にあたって
災害復興制度研究所 主任研究員 山中茂樹 |
災害復興制度研究所は、東日本大震災の発災以来、日本災害復興学会、関西学院大学東日本大震災救援委員会とともに、今後東日本の再生に向けて次のような事業に取り組んでいきます。
1.政策提言
「各党・政府震災合同会議」や各メディアに復旧・復興のフェーズに応じた政策提言を行います。 |
○東日本大震災復興支援研究会(東京) ※日本災害復興学会と災害復興制度研究所の共催
会 場: |
関西学院大学丸の内キャンパス(東京駅日本橋口サピアタワー10階) |
○東日本大震災復興支援研究会(関西)
会 場: |
関西学院大学上ケ原キャンパス内災害復興制度研究所 |
2.シンポジウム・講習会・報告会などの開催
復興支援の機運盛り上げや復興制度・施策の改善、専門家の研修などのために各種イベントを展開します。 当面、次のような事業を企画しています。 |
○現地調査報告会(第1回) 「東日本大震災 復興に向けて 現地報告会とシンポジウム」
日 時: |
2011年4月9日(土) 13:00〜17:00 |
○トラウマケアでは世界的権威のDr. van der Kolk氏を米国から招き現地研修会を開催します。
5月ごろに被災現地で開催予定。 |
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3.現地車座座談会や全国被災地交流集会の開催
避難所や仮設住宅が落ち着いた段階で被災者の生活再建支援や過去の災害における知恵を共有するため、日本災害復興学会復興支援委員会とともに現地で車座座談会を企画します。また、1月には関西学院に被災地の復興リーダーや被災者、NPOを招き、現地の悩みや課題を共有し、解決策を探るため、全国被災地交流集会を開催します。 |
4.学生ボランティアの側面支援
関西学院大学東日本大震災復興救援委員会の一員として、学生が企画する被災地支援のための企画に参加するともに側面支援をいたします。 |
5.講演・執筆活動
研究所が提唱する人間復興の思想を東日本大震災の復興にあたって被災現場で実現させるため、各研究員がそれぞれ講演や執筆活動を通じて啓発にあたります。 |
6.授 業
「災害復興学講座」を通じて、学生たちに東日本大震災の実態を伝えるとともに、復興支援に向けて基礎的な知識の習得や被災者の人たちとどうやってつながるか、阪神・淡路大震災の被災地としての責任について考えさせます。 |